漬物の種類
漬け物は大へん種類が多くあります。その種類も、それぞれの地方の習慣・産物・気候などによって漬け方が異なり、多種多様です。すなわち日本の漬け物は、欧米のチーズに対応するともいわれ、長い年月かかってその地方独特の味を出しているものが多いそうです。そのため、これらを系統的に分類してしまうことは難しいとされています。
漬け物を大別すると、一般によく知られている分類法として、漬け物を作る際に使用する副材料による方法があげられます。この分類を用いれば、日常いちばん親しみのある、いわゆる常識的な分け方をすることができます。漬け物に使う副材料としては、塩・ぬか・酒粕・みりん粕・酢・みりん・みそ・コウジ・しょうゆ・砂糖・香辛料などがあげられます。これらの副材料を使った漬け物の種類とその代表的なものは次の通りです。
塩漬
一夜漬・ハクサイ漬け・梅干し・しば漬け・スグキ漬けなど。
ぬか漬け
タクアン漬け。
ぬかみそ漬け
キュウリ・ナス・カブなど。
粕漬け
奈良漬け・守口漬け・ワサビ漬けなど。
酢漬け
ラッキョウ漬け・ハリハリ漬け・ピクルスなど。
コウジ漬け
べったら漬け・三五八漬けなど。
みそ漬け
コンブのみそ漬け・ゴボウのみそ漬けなど。
しょうゆ漬け
福神漬け・やたら漬けなど。
カラシ漬け
ナスのカラシ漬け・キュウリのカラシ漬けなど。
第二の分類法としては味の変化の要因からみた分類で、発酵により風味や味が変化するものと、調味によって味が変化するものに分けることができます。
発酵により風味や味が変化するもの
タクアン漬け・ぬかみそ漬け・塩漬けなど。
これらの漬け物は、材料をぬか床や塩水に漬けているうちに、乳酸菌など微生物の増殖により発酵が起こり、それにともなって複雑な化学変化を起こし風味が出てきます。
調味により味が変化するもの
一夜漬などの塩漬け・酢漬け・しょうゆ漬け・粕漬け・みりん漬け・みそ漬けなど。
これらの漬物は副材料の成分や風味が材料に浸透することで風味が変化します。
第三は貯蔵期間による分類です。この方法では、即席漬け・一夜漬け・当座漬け・保存漬けに分けることができます。
即席漬け
早漬ともいう。一~二日のうちにできるものをさす。半日くらい漬けたものを一夜漬けという。これは材料の生に近い感覚と味を楽しむ。風味を増すためにショウガ・みそ・トウガラシ・カラシなどを加える場合が多い。
当座漬け
二~三日から一~二週間でできるもの。
保存漬け
一~二ヶ月から五~六年貯蔵するもので、日を経るほど味がよくなる。
この方法で大切なことは、材料に対する塩の割合です。塩はある程度以上濃度が高くないと防腐作用が働きません。そのため、保存期間が長いものや、ゆっくり発酵させるものは塩分濃度を高めることが必要です。
(新・食品事典 河野友美編 真珠書院 参照)