現代人と食物繊維
現代の食生活と食物繊維
現在、日本人の食生活は欧米型と言われるほど、脂肪の摂取が増え、炭水化物(主に米)と食物繊維が減少しています。日本人の脂質摂取はここ20年で急増し、食物繊維は急降下してきました、20gをこえていた食物繊維の摂取量は今や平均で15g。海藻類やいも類の摂取も減少しているので、便秘で悩む日本人が増えているのも分かる気がしますね。
この食物繊維の摂取量が少なければ、年々上昇する脂肪の摂取量増加に対して、その脂肪を吸収させず、排泄する働きがうまくいかないのです。さらに、食生活の変化にともなって日本人の血中コレステロールは急増し、ついに日本人女性の平均は、米国人の平均値を越えてしまいました。今では、コンビニエンスストアは日本人の生活において、欠かせないもの。日本人はますますレトルト・インスタント・コンビニ弁当に食生活を依存する傾向にあり、今後10年で、働き盛りの年齢の成人病死が増加して、長寿王国日本も崩壊するのではないでしょうか?
食物繊維ってなあに?
食物繊維とは、野菜に含まれる「ヒトの消化酵素では消化できない成分」のことです。食品に含まれる炭水化物や、たんぱく質、脂肪などの栄養素は、小腸までの消化管でほとんど消化・吸収されます。しかし、食物繊維は消化されないまま、大腸にたどりつき、不要物として排出されます。
食物繊維は、「水溶性」と「不溶性」とに別れています。水溶性食物繊維はヌルヌル、ネバネバしているのが特徴で、こんにゃくや海藻類、さといも、果実に多く含まれています。また、不溶性食物繊維はボソボソ、ザラザラしているのが特徴で、穀物、いも類、野菜、豆類などに含まれています。
食物繊維の働き
1.肥満を防ぐ
食物繊維は、ほとんどカロリーがないため肥満防止に効果的です。また、満腹感を得られるため、食べ過ぎを抑えられます。
2.糖尿病を防ぐ
血液中に含まれているブドウ糖(血糖)が異常に高くなるために起こる病気が糖尿病です。食事をすると血糖値が上昇するので、インスリンが分泌されて、それによって血糖値を正常に戻します。しかし、過食をするとインスリンを分泌する細胞に負担がかかり、糖尿病を引き起こします。
食物繊維(主に水溶性食物繊維)は、食べ物を胃から小腸へ少しずつ移動するため、消化・吸収のスピードを和らげます。その結果、糖尿病の予防につながります。
3.高血圧
食塩に含まれるナトリウムは血圧を上昇させる作用があります。海藻類に多く含まれる、アルギン酸のような水溶性の食物繊維は、腸内でナトリウムと結合して排泄を促進し、血圧を下げるといわれています。
4.コレステロールを減らす
コレステロールは血液中に多くなりすぎると、動脈硬化を引き起こします。食物繊維(主に水溶性食物繊維)は、腸内にある食物中のコレステロールや、胆汁酸も吸収し排泄します。その結果、血中コレステロール値がさがり、動脈硬化を防ぎます。