粕漬けの豆知識1
お酒の歴史とともに古く、平安時代の宮廷儀式作法を記した『延喜式』にも、瓜、茄子、冬瓜などの粕漬けの記載があります。宮廷貴族の保存食だったものが、庶民にも普及したのは江戸時代だといわれています。
奈良漬
【酒粕】
清酒を搾ったあとに残るのが酒粕、通常は板の状態で固く、水に溶いたりして甘酒にしたり しますが、長期間置いておくと味噌のように柔らかくなります。その粕に焼酎や みりんを加えて味をととのえ本漬け用に使用します。大吟醸の粕は洗練されすぎていて奈良漬には向かず、純米酒や本醸造などの粕が向いています。
【酒粕の栄養学】
奈良漬の茶色は『メラノイジン』といわれるもの。細胞膜を丈夫にする作用を持っており、 細胞が丈夫であれば様々な栄養素を吸収しやすくなります。
ストレスに対する抵抗力を高め 、ビタミン、ミネラルの吸収を高めます。豊富なビタミンを含むスタミナ食の代表選手ウナギと 奈良漬との伝統的な組み合せは理にかなっています。
【粕漬け】
粕漬(かす漬)は、酒粕やみりん粕を漬床にして、野菜類(胡瓜、瓜、大根、茄子、生姜、山葵など)、山菜類、魚介類(鮭、鱒、鯛、鮎、鮑、帆立など)、牛肉などをつけたものです。ちなみに、瓜の粕漬は「奈良漬」とよばれていて、全国的にもよく知られています。
また、静岡の「わさび漬」、愛知県の「守口漬」もこの粕漬の類になります。ほかに、鹿児島県の特産品で、巨大な桜島大根を輪切りにして塩漬後、酒粕、味噌粕、味噌、砂糖などを配合した漬床に漬けた「薩摩漬」、さらに、大根、胡瓜などの野菜と数の子を、調味した酒粕に練り合わせた「山海漬」などがあります。
【上手な食べ方】
水洗いはさけ、粕を手でぬぐうか、濡れた布巾などであらかたの粕をぬぐってから小口切りします。瓜は銀杏型、西瓜・メロンは櫛形、守口大根・きゅうりは薄切りにします。 酒の香りが強い時は少し置いておくとアルコール分が揮発して食べやすくなります。 また味が濃いと感じた時は、さらに小さく切るか、刻んでお茶漬け、おにぎりの具などに お使い下さい。
◎にぎり寿し 薄くスライスした瓜を寿しネタにします。細長く切って手巻きの具に
◎チラシ寿し 奈良漬を一口大に切り分け、煮たしいたけ、れんこん、人参などと寿し飯に混ぜます。
◎みぞれ和え 細かく切りそろえた奈良漬に大根おろしをのせていただきます。
【残った粕の利用法】
きざんだ奈良漬けに和せて一緒に戴きます。市販のきゅうりや茄子など軽く塩漬けし粕に漬けますと浅漬けが楽しめます。
市販の梅干しを漬けこんで梅干しの粕漬けに。
みそ汁を作る時に、味噌3:粕1の割合で入れると微かな粕汁風のみそ汁ができます。